この「縮緬で失礼します」が難しい。
「反物の寸法を測る時、ふつうは、布地の端を持って宙に高く上げ、布か地をピンと張った状態にして測ります。しかし布地が縮緬の時だけはそうしません。縮緬は文字どおり縮んでいるのが特徴で、ピンと張った状態で寸法を測ったのでは、仕上げが狂ってしまいます。そこで、縮緬だけは、布地を畳みの上に置いたまま寸法を測るのです。「置いたまま尺をとる」のでこれを「置き尺」と言います。「置き尺」と「置き酌」。発音がおなじですね。ですから歌舞伎の世界の人たちは「置き酌」のことを「縮緬」と言いうのです。この業界の隠語です。(塩田丸男『食べる日本語』)
半四郎さんの真意は、「女性と話ばかりしてないで、少しは酒のつきあいもしなさいよ」といったところでしょう、と塩田さんは述べています。
粋な話ですね。
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