言葉は裏切る

  アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』に

  traitor :  your friend’s friend    （裏切り者：あなたの友だちの友だち）

があります。これは友だちAから友だちBへと読むのではなく、あなたの友だちの友だちはすなわちあなた自身だ、と読むのだそうです。あなたを裏切る人は自分自身である、

なるほど悪魔は意地悪で真実を突きつける。

 

ひどい二日酔いでもう絶対酒はやめると誓ったのに、夕方にはもう赤提灯の暖簾をくぐっている。裏切り者は「自分自身」。そして、あなたが書いた、あなたが言った言葉もあなたを裏切ります。たとえ、そう解釈するのは誤解だよと抗弁しても、相手がそう理解したのならどうしようもありません。

しかし、言葉は裏切らないのも事実です。

朝刊に載っている写真週刊誌の広告にこんなのがありました。

 　　　開けてビックリ!　袋とじ　

　　　小阪由佳　「復活ヌード独占撮!!」

 このコピーから、
閉じられた袋を開けたら生唾をのみ込むほどのヌード写真がある！

と期待するのが「正しい」理解です（たぶん）。

 でも、開けてみたら、更に袋で閉じられていたり、ボカシテあったり、

後ろ向きであったり、はたまた、天眼鏡でみるほど小さかったり、

などなどでも、やはりビックリしますから、そのコピー文句に嘘はないわけで、

誇大広告だと訴えるわけにもいかずただただ腹がたったりがっかりしたり

諦めてオレはいつもこうだなと素直に恥じ入る自分を発見してまたビックリ。

ことばはやはりオモシロイ。