2013年4月1日月曜日

石碑


東京は有楽町に『君の名は』を記念して菊田一夫の「数寄屋橋 此処にありき」の碑
文が立っているそうです。いったい日本全国に碑文、石碑はいくつくらいあるのでし
ょうか(と強引に話を変えます。)石碑は何かを記念して建てられたもので、ランド
マークでもあり、観光地では多くの人がカメラにおさめたりします。

  私は殊に石碑に興味を覚えた。江戸時代のもの、または高名な文人の生誕の地や
  終焉の地の碑、由来を読んでいると、遠ことではなく、身近に感じられるのであ
  る。



          
とはある愛好家の弁です。
これが普通の人の気持ちでしょう。しかし、各地で競っ建てられる詩歌の石碑に対して、反骨の歌人浅野英治は叫びます。


   石が言うのよ お前も背や胸に文字を彫ってみな 冷たい 夜だねえ 


こう冷ややかに言われて初めて、歌碑を喜ぶのは俗人であることに私は思い至ります。人間の奢(おご)りを知ります。石を悲しませるほど俗人の精神は乾いているのでしょう。歌を詠む人には石の悲しみさえ聞こえてくるとは恐れいります。

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