2012年11月2日金曜日

エノケソ 



昔々、榎本健一という喜劇役者がいた。
多くの偉人と同じように彼も愛称で親しまれた。
その大スター、エノケンが我が町に来るというので大騒動。
大枚はたいて楽しみにしていたら、
舞台に現れたのはエノケンではない!
興業主に問いただすと、看板をよく見ろという。
目を大きくして見るとエノケソ来たる!とある。
エノケンではなくエノケソ。
看板に偽りはなく、エノケンと読み間違えたほうが悪い。
ひっかかったほうがあほう。

泣くに泣けない話だがこのような被害に会ったときに
「それはエノケソだよ」という。
 

この「エノケソ魂」は大物アーティストにも受け継がれ
現代でも脈々と息づいているのは喜ばしい。

 

19991130日、1212日に、パシフィコ横浜国立大ホールで
桑田佳祐が放ったAct Against AIDSコンサートが
『エリック・クラプトソ横浜公演』だった。
 

現代の怪人たけしが出した本が
『ビートたけしのウソップ物語』だが、
これは駄洒落というべきか。
 
もうひとつのエノケソ話。時は1937年(昭和12年)、
ブルーマウンテンが初めて日本に輸入されたとき、

その宣伝文句が『英国皇室(こうしつ)御用達(ごようたし)』。イギリス女王陛下も
ご愛飲となれば天下一品。ブルーマウンテンは値段も最高、
評判も上々となった。
さてこの話のどこにエノケソが潜んでいるか。
英国に王室はあるが、皇室はない。

この手のエノケソ商売にひっかからぬようご用心、ご用心。 

 
(1) 遠藤周作『わたしが・棄てた・女』にこのエノケソの
「インチキでよごれたチラシ」をまくアルバイトの話が出てくる。
(2) 他には柳家銀吾楼、笠置シズコなどもある。

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