「ありんす」は、現代日本語の「です、であります」に
相当する言葉で、江戸時代の遊女言葉の典型です。吉原の遊女だけがなぜこのような言葉を使ったかには
諸説があります。
地方の貧しい農家の娘などが、売られて吉原の遊女と言われた。
それゆえ「そうだっぺ」とか「おらあ知らねえ」とかの方言しか話せなかったが、それでは艶消しである。
それで、吉原の遊女独特の〈ありんす言葉〉というのを作って、
遊女たちに覚えさせた。 (加太こうじ『江戸の笑い』)
もう一つの説があります。身売りして辛い職業についたうえに、
お国ことばからその出身地が客に分かってしまうのはなお辛い。詮索好きな客は根掘り葉掘り遊女に出自を問いただすだろう。
そこでそれをカムフラージュするために日本のどこにも存在しない言葉を作りだした。
郭言葉は出身地を隠す知恵だという後者の説に、真偽はともあれ、私は与します。
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