2013年3月29日金曜日

つばなれ


 一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、とここまでは全部「つ」がつく。十以上は「つ」がつかない、つまり「つ離れ」。お客が一桁では情けない。せめて二桁のお客を前に一席ご機嫌をうかがいたいという、寄席の隠語。

一から十までの符牒は次の通り。

    一 へい     平の字の一から

 二 びき     反物2反を一匹という。

 三 山(さん)    字画が3画

 四 佐々木    佐々木家の家紋が4つ目

 五 片(かた)こ   片手の指の数

 六 真田     六文銭

 七 田沼     意次の七曜星

 八 八幡(はちまん)文字通りの八

 九 際(きわ)   10の際

 十 つ離れ

 

 つ離れを願うのはなにも落語家だけじゃない。ワタシだって、千円札でもらう小遣いの枚数のつばなれを願って、今日も女房のご機嫌をうかがいたい。 
 
 

補遺:こんな大切な馴染みのある「つばなれ」を国語辞典が収録していないのは怠慢ではなかろうか。あの広辞苑にもない。

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