2012年10月12日金曜日

とんでもねえ 


 時代劇を見ると御金蔵破りで千両箱を盗み出すとか、
百両払えぬなら娘を身売りさせて銭を作れ、などと出てきます。
千両とは一体どのくらいの価値なのでししょうか。 

人により書物によりまちまちで定まりませんが、1両は20万円前後、
1両=4分、1文は25円(小林弘忠『江戸川柳で現代を読む』)

「人は働き出して千両八百十三年」と志ん生が落語で教えてくれます。
長屋暮らしの庶民が千両ためるのに813年かかるのだそうです。

 また『剣客商売』で池波正太郎は「五十両といえば庶民一家が四、
五年は暮して行ける大金である」と書いています。
ですから、無理を頼んで使った駕籠かきへ謝礼として一両差し出すと
「と、とんでもねぇ」と突っ返されます。(「暗殺」)

いくら感謝の気持からであれ、常識ハズレの額は受け取れねえ、
という駕籠かきの心意気が痛快です。
金権政治家にこのくだりが理解できるのでしょうか。
「とんでもねぇ、あいつらにわかるものですかい」の啖呵が聞こえてきそうです。


 

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