2012年10月23日火曜日

ありんす    


「ありんす」は、現代日本語の「です、であります」に
相当する言葉で、江戸時代の遊女言葉の典型です。
吉原の遊女だけがなぜこのような言葉を使ったかには
諸説があります。

   地方の貧しい農家の娘などが、売られて吉原の遊女と言われた。
     それゆえ「そうだっぺ」とか「おらあ知らねえ」とかの方言しか
   話せなかったが、それでは艶消しである。
   それで、吉原の遊女独特の〈ありんす言葉〉というのを作って、
   遊女たちに覚えさせた。     (加太こうじ『江戸の笑い』


 もう一つの説があります。身売りして辛い職業についたうえに、
お国ことばからその出身地が客に分かってしまうのはなお辛い。
詮索好きな客は根掘り葉掘り遊女に出自を問いただすだろう。
そこでそれをカムフラージュするために日本のどこにも存在しない言葉を作りだした。

 (くるわ)言葉は出身地を隠す知恵だという後者の説に、真偽はともあれ、私は(くみ)します。
 
 

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