2012年10月3日水曜日

哀愁する


   さぞかしお嬢さんは迷惑だったに違いないが、お嬢さんはいつも
     ニッコリして下さるだけだった。寅さんはある日、お嬢さんに
     別れをつげてまた旅に出る。ここでこの映画は見事に哀愁する
       (佐藤忠男『みんなの寅さん「男はつらいよ」の世界』朝日文庫)


「哀愁」なんて典雅な言葉は無粋な私は使ったことはありませんし、映画の題名でしかお目にかかったことがありませんから、どんな気持ちだと問われても、
そういうメンタリティーにおちいったこともないので、なんとなく分かったような分からないような
(つまりわからない)言葉です。

しかもこれを動詞に使って「哀愁する」と断言する語彙力はタダ者ではありません。さすがは映画評論家です。


「感涙する」「横恋慕する」などと言えますから「哀愁する」に異議はありません。
ましてや主語に人以外を用いて「ここでこの映画は見事に哀愁する。」と言われればもう佐藤忠男さんの語感にひれ伏すしかありません。
 

 結論から言えば、自分の言いたいことを言い表せる言葉を編み出すのが正用法といってよいでしょう。

 

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