2012年10月21日日曜日

レベッカとベッキ-

 英米の小説などで、ウイリアムが出ていたのにいつのまにかいなくなって、
代わりにビルが突然に登場する。でもそのビルが誰なのかの説明はまったくない。
そんな「腹立たしさ」を経験した人は意外と多いのではないだろうか。

 日本では愛称の呼び方の代表は、

  太郎 ター坊
  幸子 さっちゃん

などであろうか。工夫しても、

  渡辺 わったん
  (はじめ) がんさん

あたりだろう。

  英語ではこれが決まっている。次がその代表例。

  Helen  Nellie
  Margaret → Meg    
  Rebecca  → Becky
     Edward Ed, Ned
   James  Jim   
   Richard Dick
   Robert Bob
   Theodore → Ted    
   William  → Bill, Billy



さらに、Elizabeth には Bess, Bessie, Beth, Eliza, Liz,
Lizzie などいくつもあるから戸惑ってしまう。

けれどもこういった一般知識があれば、小説でなくても
次のような著者「はしがき」の英文を読むときにすこしも困らない。

     Writing this book involved long hours of documentary research,
   most often conducted with a two-year-old daughter named Rebecca
   patiently tagging along.  Thanks, Becky, for being such a great kid.

(この本を書くのに長時間の事実調査を必要とした。そのほとんどに
 2歳の娘レベッカががまんづよく付き合ってくれた。
 ありがとう、ベッキー、いい子でいてくれて。)
   (A Field Guide to America's History by Douglass L. Bronstone)

 もうひとつ、推理小説の翻訳から。

  「ブラウン郡から窃盗容疑で手配されている女性を探している。
  彼女は、二カ月前にナッシュビルのある銀行家と駆け落ちした。
  部下を使って、ナッシュビルの銀行の彼の口座を調べてほしい。
  4月13日以降にいくら金が引き出され、どこに送られたか調べて
  ほしいんだ。その男の名はボイドだ。ビリー・ボイド、
  たぶん正式な名はウイリアムだろう」
  (マイクル・Z・リューイン『消えた女』石田善彦訳

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