2012年9月27日木曜日

なんで泣きはる、泣いてはる 

日本語には珍しい時制の一致の例です。


    ぼくが子供の時分は、「すきやき」いうたら牛肉やのうて“かしわ”のお肉をつこおてました。農業をしたはった親戚の家でよばれたすきやきの味は、今もってはっきり記憶しております。当時の農家では、大抵自分とこで鶏を飼うたはって、すき焼きは最高のもてなしであり、ご馳走でした。(飯田知史)

この「たはった」は時間の幅がありますから、
英文法でいう現在完了[継続]に似ていま

 
次の例は「はった」が4回でてきますが、「失敗しはって」「謝らはった」「感動しはった」は過去1回だけの行為に使っています。「言いふらしたはりました」はやはり時間の継続・繰り返しを表しています。

   あるとき、事務職の女性が何か失敗しはって、関東出身の先生に向かって「せんせ、かんにん」と謝らはった。それを聞いた先生は非常に感動しはったらしく、ことあるごとに「かんにんと言われちゃってさ、困っちゃったよ」と、あちこちで言いふらしたはりました。(井上彰一)

  

    次の例は過去のことではなく、現在のことです。

京都の春の代表的な食材「竹の子」。洛西や山城などでは、
世界一の竹の子を丹込めて作ったはります。(飯田知史)


 これも現在完了[継続]でしょう。「作ってはります」でよいと思いますが、そうはいわないのでしょうか。「…はります」には「…した、…た」形が前にくるのでしょうか。それはともかく、このように続出するのを見れば京都方言のようです。

 

フランク永井『こいさんのラブ・コール』では「なんで泣きはる、泣いてはる」は「泣いたはる」ではありません。現在のことは「てはる」なのでしょうか。なんだか、きちんとした語法がありそうでもあり、京大阪で適当に言っているだけのような気もしないでもありません(そんなことはないでしょうけど……)。

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